こんにちはキュースタジオ制作担当です。
今日はいつもと違った角度から始めたいと思います。
さて先日、歌舞伎を鑑賞してきました。
『梶原誉石切』という演目。
(源平の時代を取り扱った有名な歴史モノ。含蓄がありなかなか面白いお話なので、ストーリを知りたい方は調べてみてください)
花道の側だったため役者さんの顔もはっきりと見え、とても見応えがありました。
あの迫力を支えているのは、役者さんの圧倒的な演技力やド派手な衣装などもそうですが、実は「音」にもあるのです。
歌舞伎の音づくりを支える材質
歌舞伎は舞台中、あちこちから様々な音が聴こえます。
義太夫節のナレーションやお囃子のBGMはもちろん、役者の動きや心情を音にする効果音も重要です。
転換や幕切れの合図に響くチョンチョンという音。これは「柝(き)」。
上手のほうでバタバタ~っと床を叩く音。これは「ツケ」。
「ツケ木」と「ツケ板」があり、カシ材などの硬い材を用いるそうでしっかり枯らしておくんだそうです。
ときに役者が舞台上をどかどかと、ちょっと独特なフォームで駆け回ることもあります。
会場中に足音を響かせるために、わざわざ幕間の時間を使って、花道の上にさらに分厚い床板を重ねていたりもしました。
そうやって人物のおかれた状況を分かりやすく表現してくれるのですね。
要するに「舞台」そのものを楽器にしてしまう。
全演目が終わって会場を後にする際、ほんのちょっと舞台に触ってみました。
すべすべした木肌、整った木目、香り。
材質はヒノキ。「桧舞台」は今でもよく使われる言葉ですね。
そこで思い出したのが、目黒区の町名のひとつで本社のご近所でもある「碑文谷」。
この碑文谷というちょっと変わった名前。13世紀の文書に記載があるほど古い歴史があるそうです。
由来は諸説あり、はっきりしていないとのことですが、個人的には鎌倉・室町期に桧の加工が盛んだったため「桧物屋」からきたという説を推したいところです。近からず遠からず、建築っぽくていいじゃないですか。
現在も昔もヒノキは高級材として用いられ、同じ針葉樹のスギとともに、家の中を素足で歩く日本人にとって特有の材木として愛されてきました。
お寺や神社、旅行先の「ヒノキ風呂」など、その香りと肌触りは、日本の住環境ならではの特徴です。
ただ少々お高いので、ラグマットを敷いたり家の中でスリッパを履く習慣の現在では実感しづらく、一般的な住宅ではコストバランスを考えると、むしろ不向きなところもあるかもしれません。
では現在の床材にはどんなものが使われているのでしょうか。
広葉樹が主流の現在、主な材と簡単な特徴をちょっとだけ挙げてみます。
現代の住宅に使われる主な木材とその特徴
- スギ
- オーク
- ブラックチェリー
- シカモア
スギ
文字どおり日本の代表的存在。建築資材から割り箸まで、日本文化の多様なレベルでみられます。柔らかくしっとりとした質感はお馴染ですね。その分含水率も高いので、変化が著しいのが特徴です。
東京近郊では高尾山の植林風景が身近でしょうか。先日登山に行ってきた際の写真。ちなみに筆者は花粉症ではありません。
高尾山駅の外観。構内はスギの香りでいっぱいです。
高尾山の名所の一つ蛸杉。根に立派な瘤があります。
オーク
どんぐりの樹。強度・耐久性に優れ、欧米の家具には今でもよく用いられています。ときに「虎斑」という縞模様に浮き出る杢目が特徴とされています。力強く、どことなく男性的なイメー
ブラックチェリー
サクラ属の樹。少し赤みがかった表情で、華やかな印象なのが特徴です。光に当たると艶やかに照りかえします。照らされた具合によって色合いが変わり、経年変化も楽しめるので、長く愛用したい方にはおすすめです。
シカモア
カエデの樹。メイプルとも。乳白色の光沢感が優しい雰囲気です。コントラストが淡く、どちらかというと女性的なイメージ。ギターなどの弦楽器でも使われています。硬い材質のため狂いが少なく、フェンダー系のシングル好きな筆者にはなじみ深いです。
つくり直し、つくり変えて発展してきた文化の日本
いかがでしたか。その他にもたくさんの床がありますので、こちらの事例ギャラリーをご覧いただき、どの種類が好みなのか、イメージを膨らませてみてください。
重要なのはご自身の好みもちろん、それぞれのメリット・デメリットや特徴を把握し、そのお部屋での暮らし方に一番相応しいものを選ぶこと。
小さなお子さんがハイハイできるような柔らかい床。エイジングを楽しめる床。メンテナンスのいらない汚れや傷みに強い床。
床に限らず、そうやってライフスタイルに合ったものに囲まれて過ごす毎日は、必ず暮らしを豊かにしてくれます。
あらかじめ決まった分譲マンション、戸建ではそうはいきませんから。
中古マンションを買ってリノベーション、中古一戸建てを買ってリノベ―ションが昨今注目されているのは、こういった部分に魅力を感じている人が増えている証拠。
東京近郊エリア、とくに都心の住まい選びでは、土地が限られ、新築と中古の流通率がより顕著になっています(目黒区の去年では中古流通数が新築の約8倍)。
立地や住みたいエリアを限定していくと、自ずと築30年以上なども視野に入ってくるはずです。
ですがヨーロッパでは築100年が当たり前。
安く手に入れ、自分らしくカスタマイズする、そういった賢い選択肢はこれからもっと普及していくでしょう。
今日は歌舞伎のお話で始まりましたが(歌舞伎座の建物だって明治から何度も修築を繰り返し、現在5代目)、歌舞伎には実はかなり他国文化の影響がみられます。
日本らしい文化とはつまるところ、他文化の吸収の連続です。
技術をとり入れてつくりかえる、リノベーションに通じるじゃないですか。
(かの三島由紀夫も、日本文化論において、「改革の情熱よりも復興の情熱に適しているところがある。」と評しています。)
ということで、今日は「歌舞伎」と「木材」というかなり乱暴なテーマでしたが、今後もCueStudioのブログをよろしくお願い申し上げ、たてーまつーりまーするー。
ばたばたばた(ツケ打ち)~!
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