そうだ、あの人に住まいのコトバを聞こう。

対談インタビュー 『住まコト』 Vol.1 藤田雄介さん

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2 昨今のリノベーションが注目されている時勢に対してどう思っているのでしょうか? また今後どうなっていくでしょうか?

藤田さん:リノベーションはどちらかというと、大手住宅メーカーが入り込みにくい世界。間取りもひとつひとつ違うし、同じ形式でつくれないから、考えていかなきゃならない。これまでの住宅産業の路線とは違うものを作り出せる可能性はあると思っています。実際に大手だと、無印など家具を扱っているメーカーの方が積極的に参入しています。大手住宅メーカーのような箱として住宅を生産するやり方だと難しく、家具や建具のようにすでにある箱にフィットさせるものからアプローチする方が、リノベーションには適している。

澤田:少子化・人口減少といった理由で住戸がどんどん余り出しているよね。僕がなんとなく予想しているのは、都心と郊外のデュアルライフというか、二つの家を行き来する生活っていうのが、もう少し当たり前になってくるような気がする。まあ自分がアウトドアやサーフィンが趣味だから、今の目黒にある家とは別に、奥さんや娘と休日に過ごせるような場所をリノベーションでつくれたらいいなという願望もあるけど。でも他にもそう思っている人けっこういるんじゃないかな。

―家が余る時代なら、1世帯が複数持つというのは現実味がありますね。

澤田:そういうライフスタイルがもっと普及したらいいなと思うよね。それに、住宅だけじゃないよ。最近気になるのはオフィスビル。東京では今、オフィスビルの建設がものすごい勢いで進んでいるんだよね。まあ東京オリンピックの2020年に合わせた再開発なんだけど、本当に大丈夫なのかなっていう気はする。ここもやっぱり少子化で働き手が減ることを考えれば、オフィス需要の大きな伸びというのは難しいんじゃないかな。そうすると、別の使い方ができる用途へコンバージョンという話になってくるし、そういうところも今後やっていきたいと思ってる。

藤田さん:それってオフィスを住宅にするっていうこと?

澤田:それもそうだし。ホテルにするとか、保育施設や介護施設に改修するとか、文化的な公共スペースでもいい。いろいろ可能性はあると思う。

藤田さん:それなら用途変更が一番問題になってくるよね。澤田くんが言っているような、既存ストックを活かした新しいライフスタイルを実現するためには、制度の問題が障壁になっている。

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澤田:そうだね。例えば消防法ひとつとってみても、設備が変わるし避難経路も変わる。もともとオフィスビルはオフィスのためにつくられているわけだからね。空いている部屋を何かまったく別の用途に変更しようとしても、階段を増やさないといけないとか、じゃあ開口を設けるために躯体はハツっていいのかとか、そういう問題にぶつからざるを得ない。(※ハツる=斫る。コンクリート構造躯体を削り形を変えること。)

藤田さん:友人の建築家の佐久間悠さんという方は、用途変更などリノベーションで障壁となる法的な部分の整理に詳しく、そういう事例をアーカイブ化して、みんなで共有しようと考えています。

澤田:住宅はもちろん、オフィスにしても貸店舗にしても、好い立地の場所は心配ないだろうけれど、そうじゃない建物はどんどんニーズがなくなって、価値が下がっていってしまう。そこにリノベーションの可能性というのはあるよね。

藤田さん:オフィスを住宅化して、めちゃくちゃ天井の高い家とか、そういうのが増えていったら面白そう。

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